秋 道東 標津町 忠類川サーモンフィッシング

知床の付け根に位置する標津町は、日本で水揚げされるサケの6～10％の漁獲量を誇る「サケのまち」として知られています。 その標津町を流れ、根室海峡へそそぐ忠類川には、毎年たくさんのサケが帰ってきます。 川に遡上したサケ・マスは、法律で採捕が禁止されていますが、忠類川ではサケを釣ることができるのです。 自治体と漁業協同組合が漁業権を取得し、毎年「釣り人によるサケ資源の調査」という目的で、河川内でサケ・マス（シロザケとカラフトマス）を釣ることが1995年に許可されました。 これは日本で初めてのケースです。

忠類川サーモンフィッシングは、あくまでも「釣獲調査」なので、いくつかの決まりごとがあります。 釣り人は事前の申込みによって「採捕従事者」として登録され、有料で釣獲調査に参加することになります。 釣り方は「ルアーフィッシング」「フライフィッシング」「餌釣り」から選ぶことができます。ルアー用のレンタルタックルも用意されていますので、手ぶらでのフィッシング体験もOK。 釣り上げたサーモンはキャッチ＆リリースが原則ですが、死亡した魚や弱った魚に限り、１人あたり1日に2尾まで持ち帰ることができます。

対象魚は、シロザケ（チャムサーモン）とカラフトマス（ピンクサーモン）の2種類。 サケたちが帰ってくる時季に、豊かな自然林に囲まれた忠類川の岸辺に立つと、急流のところどころに悠々と泳ぐ姿を見ることができます。 この魚たちの鼻先に、ルアーやフライをうまく送り届けることがポイント。 下流部でも歩いて渡ることができる忠類川では、ルアーやフライを遠くまで投げる必要はありません。 流れが速いためにちょっとしたテクニックが必要となりますが、使いやすい長さのロッドを使って、コントロール優先でアタックしましょう。

忠類川のカラフトマスは最大で約5kg、シロザケは7 kgオーバーのサイズがヒットするほど大きいのが特徴。 そんな魚がルアーやフライにヒットすれば、胸躍るダイナミックなファイトのはじまりです。 アタリが来た瞬間ロッドにズシッと乗る重み。フレッシュランと呼ばれる豪快な走りと引き。 たちまち悲鳴を上げ出すリールのドラグ。忠類川の急な流れとあいまって、海から遡上して間もない元気な魚とのファイトは、全身が痺れるほどの興奮です。 無事にランディングまで持ち込むまで気が抜けない、まさに真剣勝負と呼ぶにふさわしい体験です。

北海道のサケ釣りにはファンも多く、シーズンになると河口海岸や漁港などの釣り場がたくさんの釣り人でにぎわいます。 ですが、釣りマニアに言わせると、河川でのサーモンフィッシングの面白さはやっぱりひと味もふた味も違うそうです。 今年もまた、長い長い旅を終えたシロザケやカラフトマスが生まれ故郷の忠類川に帰ってきます。 そんなサケたちに敬意を払いながら思う存分にサーモンフィッシングを楽しみ、本場のカナダやアラスカにも匹敵する知床の大自然の中でゆったりとした時間を過ごす贅沢はいかがですか。